克也

当たり前の事だが、何かに秀でていると人から一目置かれるということがわかった。頭で分かるのと体験して分かるのではこうも違うのかと思った。人よりできるものを作る。しかし、勉強はある程度できたかもしれないが、自信はついていない。それは自分のやりたいことではないからかもしれない。やらされている感はないが、自分の将来が開けるためには勉強をすることが手っ取り早く簡単だからだろう。高校のときに野球部に入った克也という同級生がいた。中学では帰宅部で必死に勉強した。勉強しないと良い高校に入れないからだ。福岡には公立で進学校が多い。旧藩校であるその高校は頂点に位置している。学区で割り当てられてしまうが、引っ越しをしてでも子供を入れたいと願う親は少なくない。そういう家庭だと自分の学力を考えて勉強と部活を両立することに躊躇してしまう。必死に勉強して念願の高校に入ったら、それで終わってしまう者もいる。俺は違うと思っていた。高校に入ったが、目標はここではない。超一流大学に入ることだ。克也とは一年生で同じクラスだった。同じ目標を持っていると思った。仲良くやっていた。入学後、部活はどうするかとお互いいっていたが、それ以上話は進まなかった。少し運動部を経験したが、ついていけなかった。夜まで練習して、クタクタになって家に帰ったら寝るだけだった。