天神

そういうのは、ダメだというのは薄々感じていた。だから、一人暮らしをしたかったのかもしれない。田舎といっても博多は都会であったし、九州一の大都会である。天神には何もかもあった。修学旅行に東京へ行ったときには度肝を抜かされた。緑色の山手線の駅全てが天神より凄かった。東京駅について丸の内改札口を降り立った。目の前に皇居があった。同級生と写真を撮りまくった。東京駅の瀟洒な雰囲気が福岡からきた俺らに近寄りがたい雰囲気と威厳を醸し出していた。東京駅の真正面の道を歩いて行く、一直線の道は日本の元首のための道であると言うことを見せ付けることはなかった。気が付いたら純次が来ていた。「すまん、遅れて。バイトで教えていたら、子供が質問して離さないんだ。俺の教え方が上手いのかなぁ。」、といった。何て返せば良いのか分からないので、無視した。他愛の無い話をいつものようにしていると、豊が「天気予報だと、今晩雪が降るみたいだ。」といった。そういえば、少し寒くなってきた気がしたのでカーテンを開けてみた。雪がちらついている。もう少しビールを飲むことにした。ふと、純次が「俺帰る。雪が積もるとスクーターだと転けるから。」、と気弱そうにいった。豊が眠そうに、「大丈夫だよ。泊まっていけばいいだろう。」、と無責任にいった。眠くなってきたので、「帰ろう!」といった。