日本地図2

Sはいつか大きなことをやってやろうと思っているが、何から始めたらよいのか?何をやったらよいのか?わからないという若い頃に誰もが考えるタイプであった。それを探すために人と群れずにバイクで行ったり、本を読んだりしている。自分に自信を付けるために最高学府の中でも飛び切りの大学に合格した。浪人している一年間はがむしゃらに勉強した。最初の受験で受けたところ全てに落ちた。仲間が受かっている中で一人落ちたことはショックだった。大学に受かったら全てが開けると思っていた。しかし、何も変わらなかった。ただ、時間を持て余していることだけが違った。朝から夜中まで勉強していたときが懐かしかった。専門科目を勉強してみた。分厚い参考書をめくり、静かな図書館で勉強した。次の日も勉強した。すぐに飽きた。大学の参考書には練習問題はなかった。模試もなかった。偏差値はなかった。自分の位置がわからなかった。大学に合格したけど、何も変わらなかった。相変わらず自分に自信がなかった。今更部活動に打ち込む気になれなかった。団体行動に居心地の良さを感じなかった。いろいろなことを極めよう。そうすることで何か感じることがあるのでは。他人ができないことをすることで何か違う世界を見つけることができるのではないか。そう考えるようになった。