腕立て伏せ

05/11/2019

朝練のために早く起きなければいけない。授業中に寝ている。最初はそれでもよかった。体を動かすことが楽しかった。暗い中、仲間と一緒に帰るのも楽しかった。しかし、違和感があった。何か分からないが、それが段々大きくなっていった。部活の時間が不安になってきた。それが増幅していったときに部活を止めた。それが答えだった。この生活を続けた延長線上に俺の目指しているものはないということがわかった。天からの啓示か、それとも決められた道だったのかはわからない。でも、ホッとした。帰宅部に復活して家に帰って勉強をする生活に戻った。体は楽になり、運動をしたい欲求はあったが、心の平安は戻ってきた。高校の勉強は難しかった。特に数学と物理は格別に難しいと思った。英語もそうだ。そういうときに克也と仲良くなっていった。克也も帰宅部で言葉に出さないが、将来のこと、大学受験が第一であり、そのために家で勉強をしていた。ただのガリ勉と異なることは、克也はガタイが良かった。ボディビルダーのような体型をしていた。胸板が厚く、二の腕が太い。「克也!どうしてそんなにたくましい体をしているんだよ。中学は帰宅部なのに。」「腕立てをいつもしているんだ。」「腕立てだけでそうはならないだろ。」「腕立てだけで十分だよ。ゆっくり、回数を重ねるんだ。」いつもは寡黙な克也が、よくしゃべった。