黒澤明

12/11/2019

少し歩いたら鴨川だ。「お前が映画監督になりたいなんて知らなかったよ。」「映画は芸術だ。敗戦のあとの絶望的なときに、日本に希望のひかりを与えた重要な二つがある。それが何かわかるか?」酔っ払ったときの鉄則であるが、聞き役に回ったら負けだ。もう俺はLoserということだ。諦めよう。「勤勉さかなぁ。あとは朝鮮戦争による特需、、」といったところで酔っ払いが遮った。「あほ!優等生の答えをいうか。」といって、頭を軽く叩かれた。頭にきた。でも、我慢して眞人の答えを聞きたくなった。「湯川秀樹ノーベル賞黒澤明の金獅子賞だろう!」ノーベル賞はわかるが、黒澤明の金獅子賞とは何だろう。「黒澤明は世界的な映画監督だし、親父は尊敬していた。金獅子賞ってなに?」と言ったら、眞人に怒られた。「自分で調べろ!とにかく、戦争に負けて打ちひしがれていた日本人に希望の光を与えたのは黒澤明湯川秀樹だ。俺はどちらかになるためにこの大学に入った。入ったはいいが、勉強では分が悪い。俺が一日掛けて理解した経済学の本をあいつらは授業中に理解し、教授に質問をしているんだ。そういうゼミの毎日を繰り返していると悔しさを通り越して才能がないのではと思ってします。」こいつは呑んでいくとカラミ酒になるみたいだ。「経済で重要なのは数学だ。あとは英語だ。経済学はアメリカが最先端だ。アメリカの論文を読まないと話にならない。英語ができないとだめだ。英語は自信がある。それは負けない。」「まだまだ時間はあるので数学を勉強して、英語はもっと勉強して経済学のテキストを勉強すればよいのでは。」といった。眞人は、「そうだな。でも映画監督は人生のあり方や自分の思い描いていた人生を映像という形で作品にできる。まさに芸術である。そういう道を極めたい。」