映画監督

11/11/2019

話はそれてしまった。河原町で眞人とバーボンを飲んで調子良くなってしまった。たまに、飲んでいて自分を俯瞰して見てしまうことがある。そのときは沈黙になる。話していて黙ってしまうだけではなく、相手の話が頭に残らないから困った事だ。克也の苦い思い出に浸っていると眞人との楽しいアーリータイムズが時間差となっていった。眞人がグイグイと飲んでいた。「帰ろう。飲み過ぎた。」見ればわかるよ。ウィスキーは度数が高いからすぐに酔ってしまう。「俺、映画が好きでさぁ~」「どんな映画を見るんだ?」「映画監督になりたいんだ!」人の話を聞いていない。酔っ払いだ。店の前を出たら、小さい川があった。回りを石畳みで囲われているが、みごとな川だった。「映画を作るんだ。カミューの異邦人のような不条理な哲学的な映画を創るんだ。」「・・・・・・・」「黒澤明が世界的に評価されているのは、その映像技術が時代を超えていることは当然としてもその奥に人間の存在についての彼の崇高な考えがあるということなんだ。」「酔っ払ったから鴨川歩いて帰るか。酔い冷ましにはいいだろう。」「いいね。そうしよう。」