数学

 

期末試験の時期になった。といっても勉強する科目は決まっている。ドイツ語とノートが回ってくる社会科目である。なぜか数学を選択した。試験はなかったが、普段の授業で成績が決まる。毎回必ず出席した。教授が黒板に数学の問題を書いてそれを学生が答えるというシンプルなものであった。3~4人しかいない。いつも答える学生は決まっている。まず、問題の意味も分からないが理学部数学科と思われる学生が、黒板に向かって答えを書いていく。すんなりと解答を書いたときには、教授がこうなった場合はどうなるのか?と質問して一緒に答えを考えるという場面に良く目にした。小学校の算数の授業とは全くことなる空間であった。先生と生徒というよりも数学に挑む仲間という雰囲気だった。何を考えているのかさっぱりわからない。多分この雰囲気を味わいために出席していたのではないか。この授業だけは予習をなぜかした。年間20回位だったか。1回だけ答えることができる問題がでた。黒板に恐る恐る書いた。少し訂正されたが、「まあ、いいでしょう。」、と教授がいった。そのあとどういう授業をしたか覚えていない。頭の中が真っ白になったのであろう。達成感はないが、うれしかった。数学の成績だけ気になった。他はどうでもよかった。60点!”可”嬉しかった。